アルツハイマー病での認知トレーニング効果の増強:アドオン治療としての反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)
こちらの論文は、
のページに引用しています。
認知トレーニングの効果をTMS治療が増強する
こちらの論文は、認知トレーニングにTMS治療を行うことでの増強効果を調べたRCTになります。
認知トレーニングは、非薬物療法として認知症に有効です。
軽度の認知症の患者さんに対して、連想記憶に関する認知トレーニングに対してシャム刺激と左DLPFC高頻度刺激をランダムに振り分けて、その結果を比較しました。
その結果、実刺激の方が有意な効果が認められました。
- 障害の少なさ
- 教育レベルの高さ
が治療効果に関係していました。
またトレーニングはしていない項目でしたが、視空間的推論でも大きな改善効果が認められていました。
このようにTMS治療は、認知トレーニングに併用することで治療効果を高めてくれる可能性があります。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
アブストラクト
アルツハイマー病(AD)の治療において、利用可能な薬剤の効果が限られていることを考えると、非薬理学的介入の分野におけるADの治療は挑戦的な課題である。
認知トレーニング(CT)は、ADにおいて一般的に推奨されている戦略である。
近年、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は、神経可塑性を高める効果があることから、ADの治療に有望なツールとして注目されている。
今回のランダム化二重盲検群間比較試験では、左背外側前頭前野(DLPFC)に高頻度のrTMSプロトコルを適用し、顔と名前の連想記憶CTに対する付加効果を、AD病態の連続性において検討することを目的とした。
認知症のごく初期から中等度までの患者50名を、2つのグループ(CT+実刺激rTMSあるいはCT+偽刺激rTMSの2群)のいずれかに無作為に割り付けた。
その結果、CT後の連想記憶に対するrTMSによる改善効果は、CTのみで得られたものよりも優れていることが示された。
興味深いことに、この追加的な改善の程度は、疾患の重症度と教育レベルに影響され、障害の少ない患者と教育レベルの高い患者がより大きな効果を示した。
トレーニングをしていない認知機能への一般化を検証したところ、CT+実刺激rTMS群の患者は、CT+偽刺激rTMS群の患者に比べて、視空間的な推論においても大きな改善を示した。
興味深いことに、この改善は治療開始後12週間にわたって持続した。
本研究は、ADにおけるrTMSの治療的利用の可能性を示唆するものである。
【お読みいただいた方へ】
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年7月29日
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