【不安障害③】24歳女性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年3月~X年5月の40日間
- 主訴:頭が働かない、強迫症状
- TMS治療の目的:抑うつ状態、不安、強迫症状の解消
- TMS治療プロトコール:iTBS(1200発)とaTBS(1200発×2回)の組み合わせ30回目標
これまでの経過
1年以上前に他院精神科に受診し、不安障害と強迫性障害と診断されました。
薬(レクサプロ)を処方されていましたが、効果がありませんでした。
現在、「人と関わりたくない何もしたくない」、「咄嗟に言葉が出てこない」、「仕事で自分の作った資料等にミスがないか不安で何度も確認してしまい進めなくなる」などの強迫症状が出現しました。
退職を予定しており、新年度から資格を取るために学校へ通うことになっていました。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
まずは問診させていただき、病状の本質は社交不安障害及びうつ状態にあると判断しました。
強迫症状は部分症状と思われ、うつ状態の悪化に伴って不安が強まり、確認行為が強まっていました。
薬物療法での効果が乏しいため、まずはうつ状態の改善を意識してTMS治療を開始することになりました。
倍量iTBS(1200発)にて週3日以上、1日1~2回のaTBSプロトコールを30回行いました。
10回目終了時、ちょうど学生生活がスタートし新しい環境になりました。
不眠は残っていましたが環境の変化によるプレッシャーなど感じることなく、気分は落ち着きを取り戻していました。人といると元気にふるまうことはできるようになりました。
30回目には、調子も良くて前向きに生活ができるほどに改善しました。
社交不安の傾向は残っていましたが、現在の生活ではコントロールできる範囲に落ち着いていており、維持療法には移行せずに経過を見ていくことになりました。
症例のまとめ
社交不安は残ってはいるものの、抑うつ状態をTMS治療によって改善することで社会生活の支障は大きく改善しました。
うつ状態を呈しているときは、まずはその治療をしっかりと行うことが大切で、TMS治療はその一助になることが経験できた症例でした。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。
また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。
取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年9月2日
関連記事
スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
投稿日:
人気記事
子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
投稿日: