不安障害およびトラウマ関連疾患におけるTMS:システマティックレビューとメタアナリシス

こちらの論文は、

のページに引用しています。

PTSDとGADには右DLPFC頻度高頻度刺激?

こちらの論文は、不安障害やトラウマ関連疾患に関するTMS治療の効果をメタアナリシスによって分析した報告になります。

社交不安障害やパニック障害については、十分な研究がないために分析はできず、全般性不安障害とPTSDについて検討されています。

結論として、全般性不安障害もPTSDも、右DLPFC高頻度刺激で効果が認められました。

しかしながらその効果も、2~3か月で薄れてしまいました。

このようにPTSDやGADについては、右低頻度刺激が一般的ですが、高頻度刺激でも良い結果が出ています。

どのような刺激法がよいのかについては、まだ結論がついていません。

論文のご紹介

不安障害とトラウマ疾患へのTMS治療のエビデンスをご紹介します。

英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。

背景

経頭蓋磁気刺激(TMS)は、大うつ病性障害の患者に有効な治療法として評価されている。

しかし、不安障害やトラウマ関連疾患など他の神経精神疾患に対するTMSの有効性を評価した研究は限られている。

我々は、不安障害やトラウマ関連疾患の治療法としてTMSを評価した文献をレビューした。

方法

Embase、Medline、ISI Web of Scienceの各データベースで2017年12月までに発表された論文を、PRISMA(Preferred Items for Reporting of Systematic Reviews and Meta-Analyses)声明に従って検索した。

不安障害およびトラウマ関連疾患におけるTMSを評価した論文(n=520)をスクリーニングし、そのうち適格性基準を満たしたごく一部のサブセット(n=17)をシステマティックレビューに含め、そのうち9件は心的外傷後ストレス障害(PTSD)、4件は全般性不安障害(GAD)、2件は特異的恐怖症(SP)、2件はパニック障害(PD)におけるTMSを評価ものであった。

PDとSPは研究数とサンプルサイズが不十分であったため、PTSDとGADでメタ解析を行った。

結果

不安障害およびトラウマ関連疾患の中で、TMSはPTSDの治療法として最も広く研究されている。

PTSD(ES=-0.88、95% CI:-1.42、-0.34)とGAD(ES=-2.06、95% CI:-2.64、-1.48)の両方に対して、右背外側前頭前野へ高頻度TMSを適用し、全体として大きな治療効果を示した。

SPおよびPDに対してTMSを評価した研究はほとんどないため、結論はほとんど導き出せない。

結論

今回のメタアナリシスでは、TMSがGADやPTSDの治療に有効である可能性が示唆された。

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年7月27日

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