単極性うつ病の自殺リスクに対する加速型反復経頭蓋磁気刺激の急性効果:予備的結果
こちらの論文は、
のページに引用しています。
aTBSは効果的で自殺リスクを高めることはしない
こちらの論文は、aTBSでのうつ病の自殺リスクの軽減効果について調べた報告になります。
1日5回のacceleratedのTBS(シーターバースト)治療を行い、ランダムに実刺激と偽刺激に12名の患者さんを振り分けました。
そのうえで、治療前後での自殺念慮の変化を調査しました。
結果としては、どちらも自殺念慮が軽減したものの、実刺激による軽減効果ははっきりしませんでした。
しかしながら少なくとも、acceleratedな治療法によって自殺念慮が高まるリスクは少ないと思われます。
自殺念慮への効果はさらに研究が必要となりますが、a-TBS治療は自殺リスクを高める可能性は低いように思われます。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
背景
自殺は大きな健康問題である。効果的な急性期の介入方法は不足している。
最近の研究では、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)後に自殺念慮が急速に減少することが示唆されている。
しかし、プラセボ効果を除外することはできなかった。
我々は、うつ病の自殺リスクに対する加速型間欠的シータバースト刺激(TBS)の急性効果を評価することを目的とした。
対象と方法
12名の自殺治療抵抗性うつ病患者を対象に、左背外側前頭前野に加速型間欠的TBSをランダム化、偽刺激対照クロスオーバー法で行った。
患者は4日間で20回のセッションを受けた。治療前と治療後の自殺念慮の重症度の変化は、ベック自殺念慮尺度(SSI)で測定した。
結果
その結果、SSIスコアは時間の経過とともに有意に減少した。
この減少は実刺激にも偽刺激にも関係していなかった。
さらに、自殺念慮の減少は、単にTBSによるうつ病の重症度の変化に関連するものではなかった。
結論
うつ病の自殺願望のある患者に対する加速型TBSによる治療は、安全で忍容性が高く、自殺願望を急速に減少させる可能性があることがわかった。
しかし、偽刺激と比較した有効性はまだ証明されておらず、これらの予備的知見を立証するためには、より長い追跡調査を含むさらなる偽刺激対照研究が必要である。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年5月29日
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