【うつ病⑮】51歳男性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/7月~X年/8月の37日間
- 主訴:倦怠感、思考抑制、漠然とした希死念慮
- TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
- TMS治療プロトコール:倍量iTBS(1,200発/回)30回、1日2回のaTBS
これまでの経過
当院心療内科に継続通院いただいており、レクサプロ(抗うつ薬)、デエビゴ・レンドルミン(睡眠薬)を内服していました。
反復性うつ病性障害の診断で薬物療法を行っていましたが、うつ状態の再発がみられて休職を悩まれていた際にTMS治療をご案内させていただきました。
「短期間の休職で済む可能性があるなら」とのことで職場と調整いただき、1ヶ月休職できることになり、aTBSを行うこととなりました。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
抑うつ状態を改善するため、1日2回治療で倍量TBS(1,200発/回)を30回行いました。
TMS10回終了時は、「朝の倦怠感が減った。」とのこと。
TMS20回終了時は、「だるさがとれてきた。午前中の調子も前よりはよい。」と良い傾向が増えていきました。
TMS30回終了時は、「調子悪くないと思う。こないだゴルフの打ちっぱなしに久しぶりに行ったら楽しめた。就労への意欲はあがった」と、気分の改善が認められました。
今の状態を維持させるために、2週間に1回のペースでTMSの維持療法を施行することとなりました。
治療ブースではいつも表情が乏しく、発言も少なく声にも覇気がありませんでしたが、30回頃には話し方もハキハキされてきて、発言も増えました。
症例のまとめ
1日2回治療を行い、主訴の改善が認められました。
短期集中治療によって1か月の休職期間で社会復帰ができました。
TMS治療のメリットは再発率の低さで、抗うつ剤との併用はさらに再発率を低下させます。
うつ状態を繰り返されている方にとっては、TMS治療は良い適応であることを実感した症例になります。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。
また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。
取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年8月26日
関連記事
スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
投稿日:
人気記事
子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
投稿日: