【うつ病㉞】56歳男性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/2月~X年/3月の40日間
- 主訴:抑うつ状態、不安、フラッシュバック等の遷延
- TMS治療の目的:抑うつ状態の改善、フラッシュバックの軽減
- TMS治療プロトコール:倍量iTBS30回
これまでの経過
仕事自体はずっとストレスフルな感じでしたが、コントロールはできていました。
交通事故に遭い抑うつ状態を認め、他院にて抑うつ状態、不安障害、PTSDと診断されました。
1年半年前から他院にて処方されたパキシル(抗うつ剤)、ランドセン(抗不安薬)、レンドルミン(睡眠薬)を服用していました。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対して、エビデンスのある心理療法のEMDRの治療もしましたが、効果が乏しかったためにTMS治療を希望されて来院となりました。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
まずはうつ状態を改善するため、iTBSを30回行いました。
TMS10回終了時には、「睡眠がとれるようになってきた。最初は疲れ目のような感じがあったが慣れてきた。フラッシュバックも明らかに減っている。せき止められた川が流れ始めた感じ」と、効果を感じられていました。
調子が良かったのでそのまま30回目まで継続しました。TMS30回終了時には、「睡眠も深くなっている。意欲も改善しているので社会復帰もしようと思える。フラッシュバックも減っている」と、主訴の改善が見られました。
治療後のフォローとしては、症状が再発した時のためブースターTBSご案内し、いったんTMS治療は終了しました。
症例のまとめ
1日1回のiTBS治療を週5回通っていただく事で、明らかに症状の改善が見られました。
当初20回の治療をご希望でしたが、その後もペースを落とさず30回まで継続してもらうことで治療効果が安定しています。
うつ症状とともにフラッシュバックなどのPTSD症状も明らかに緩和しており、TMS治療の可能性を感じさせられた症例になります。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。
また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。
取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年9月2日
関連記事
スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
投稿日:
人気記事
子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
投稿日: