【うつ病㊵】50代男性

プロフィール

  • 治療期間:【急性期】X年/7月~X年/9月の53日間
  • 主訴:耳鳴り、不安、食欲低下、無気力、抑うつ状態
  • TMS治療の目的:抑うつ状態、不安の改善
  • TMS治療プロトコール:倍量TBS(1,200発/回) 30回

これまでの経過

10年程前に軽いうつ病と診断され、薬物療法を受けられていました。

数年前から24時間耳鳴りの症状にお困りで、不安や無気力感等の抑うつ症状もあり、他院にて再度うつ病と診断されています。

10年前はジェフロイドと睡眠導入剤を2ヶ月内服されていましたが、ジェフロイドは効果が感じられなかったそうです。

耳鳴りに対しては、耳鼻科にて薬物療法を行っています。

抑うつ状態が薬物療法で改善しなかったため、当院にてTMS治療をご希望されました。

TMS治療経過

うつ病症例㊵の心理検査の結果をご紹介します

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

抑うつ状態を改善するため、倍量TBS(1,200発/回)を30回行いました。

TMS10回終了時は、「気分は少し上向き、スッキリした感じ。耳鳴りはまだある。」と、気分の変化が見られました。

TMS20回終了時には、「調子悪くないと思う。気分は上向き。耳鳴りはまだある。睡眠は日によるが食欲はOK」と、食欲低下も改善していました。

TMS30回終了時は、「調子よい。気分も安定している。睡眠OK。」と、主訴の改善が認められました。

治療ブースでも、治療開始当初は不安そうでしたが次第に表情も明るくなり、「病院を変え、薬が変わったことで耳鳴りの頻度がかなり減った。TMSを受けて、まず気持ちが安定したことが良かったと思う」と、笑顔で治療を終了となりました。

調子が良く少し様子をみたいことで、ブースター治療についてご案内し、終診となりました。

症例のまとめ

耳鳴りに対しては効果がありませんでしたが、不安や抑うつ状態に対しては治療効果が認められました。

耳鳴りに対しては聴覚野をターゲットにしたTMS治療が海外ではおこなわれていますが、まだ治療効果として確立したおらず、当院としてはおこなっておりません。

【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。

医療法人社団こころみ採用サイト

また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。

取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年10月23日

\ この記事をシェアする /

TWITTER FACEBOOK はてな POCKET LINE

関連記事

スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

投稿日:

【2024年8月最新】東京のTMS治療クリニック21院!見極めポイントを精神科医が詳しく解説

目次 東京TMSクリニック® 東京でのTMS治療 東京で安心できるTMSクリニック5選 東京でTMS治療を受けられるその他の16医療機関 TMS治療クリニックの選び方 東京横浜TMSクリニックについて 感染対策について … 続きを読む 【2024年8月最新】東京のTMS治療クリニック21院!見極めポイントを精神科医が詳しく解説

投稿日:

コロナ後遺症に対し新規経頭蓋磁気刺激法(rTMS)による治療開発 ~多施設共同ランダム化プラセボ対象比較試験の開始~

臨床研究の概要 医療法人社団こころみ東京横浜TMSクリニックは、「コロナ後遺症に伴う不安抑うつ・認知機能障害に対する新規経頭蓋刺激療法(rTMS)による治療法開発に向けた多施設共同試験」を実施いたします。 新型コロナウイ… 続きを読む コロナ後遺症に対し新規経頭蓋磁気刺激法(rTMS)による治療開発 ~多施設共同ランダム化プラセボ対象比較試験の開始~

投稿日:

人気記事

子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

投稿日:

スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

投稿日:

精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

「車がないと会社に通勤できない」 「仕事で車を運転する必要がある」 「生活するうえで、車がないと困る」 日常生活の中で、車の運転が必須になっている方もいるでしょう。 それは、精神疾患の治療をしている患者さんも同じです。お… 続きを読む 精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

投稿日: