【うつ病㊿】50代男性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/3月~X年/4月の51日間
- 主訴:気分の落ち込み、体の怠さ、不安
- TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
- TMS治療プロトコール:倍量iTBS(1,200発/回) 30回
これまでの経過
うつ病により、9年前から通院歴がありますが、薬物療法では改善が認められないとのことでした。
数か月前より抑うつ気分の悪化を認め、TMS治療をご希望のため当院へ来院されました。
抗うつ剤(ミルタザピン)、抗精神病薬(ラツーダ)、睡眠薬(フルニトラゼパム)、抗てんかん薬(ラミクタール)を服用されていました。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
抑うつ状態を改善するため、左DLPFCに対する倍量iTBS(1,200発/回)を30回行いました。
TMS10回終了時は、「頭痛はあったが今は大丈夫です。少し気持ちも上向きになりました。睡眠も食欲もとれています。」と、症状の軽減が見られていました。
TMS20回終了時には、「頭の中で整理がつくようになってきました。 前まではドヨっとしたのがスッキリしてきました。希死念慮も弱くなっています。」とのことでした。
TMS23回終了時には、「不安もあるので、右の治療も気になっています。 仕事のことを色々考えてしまいます。」とのことで不安症状は改善が見込めず、30回目まで様子をみました。
TMS30回終了時は調子も良く、「前より調子はよくなっていると思います。」と、左の治療を無事に終えられました。
落ちこみや、不安はまだあるのでそちらの治療もしていきたいです。」と御本人の希望があり、右DLPFCに対する低頻度rTMS(1,800発/回)を検討することになりました。
心理検査上では、HAM-D、MADRS共に50%以上の改善が認められていましたが、御本人の不安症状改善目的に右DLPFCに対する治療も継続していくことになりました。
症例のまとめ
薬物療法で奏功しない抑うつ状態に対して、TMS治療が改めて有効であると感じられる症例でした。
不安改善のために右DLPFCに対する治療を追加し、不安症状も軽減した症例となります。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。
また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。
取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年4月30日
関連記事
スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
投稿日:
人気記事
子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
投稿日: