【うつ病81】50代男性

プロフィール

  • 治療期間:【急性期】X年/7月~X年/8月の94日間
  • 主訴:憂鬱になる。仕事や遊ぶ意欲が湧かない。好きだった事も興味が薄くなってしまった。集中力がない。決断力がない。だるくて半日は横になっている。
  • TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
  • TMS治療プロトコール:右低頻度rTMS(1,800発/回) を30回

これまでの経過

うつ病にて他院精神科に通院中の患者様です。

20年前から薬物治療を継続していましたが、抑うつ状態が遷延しているため、当院でのTMS治療を希望されました。

アモキサン(抗うつ薬)、ハルシオン(睡眠導入剤)、マグミット(便秘薬)、ウルソ(利胆薬)、チラージン(甲状腺ホルモン剤)を服薬されています。

また、心房中隔欠損症の手術歴のある患者様です。

TMS治療経過

うつ病81の心理検査の結果をご紹介します
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

抑うつ状態を改善するため、右低頻度rTMS(1,800発/回)を30回行いました。

TMS10回終了時は、「昨日あたりから、うまくいかないことがあっても気分が落ち込まない」とお話がございました。

イライラ感や仕事への無気力感は変わらずとのことでしたが、抑うつ状態に関する変化が表れ始めたようでした。

TMS20回終了時にも気分の落ち込みが軽減したご様子が窺えました。ただ、「絵の道具を持ってきたが、まだ描けない」と、仕事に対する無気力感は続いていました。

通院以外での外出が少ないとのことで、軽めの運動療法も併用いただくことを医師からおすすめしました。

TMS30回終了時は、「まだ描けないが考えられるようになった。前よりは怠さも減ったと思う」とのお言葉がございました。

仕事を想起させる内容の動画配信も楽しむことができるようになったとのことでした。心理検査上でも抑うつ症状の改善が認められました。

TMS治療は終了し、TMS治療期間中に開始した他院での薬物療法を継続することになりました。

症例のまとめ

遠方より当院付近へ滞在され、週4~5日のペース通院にて30回の治療を終えられました。

治療歴が長く、主訴も多岐に渡っている状況でしたが、治療回数を重ねることで徐々に抑うつ症状の改善が認められるようになりました。

TMS治療によって全ての症状を解決するには至りませんでしたが、仕事に向き合っていくための一助としてお役立ていただけたのではないかと思います。

今回の症例は、うつ病の寛解という目標に対し、選択肢やステップの一つとしてのTMS治療の役割を考える機会となりました。

【お読みいただいた方へ】
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「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
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また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。

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カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2022年12月17日

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