【うつ病89】50代男性

プロフィール

  • 治療期間:【急性期】X年/6月~X年/7月の25日間
  • 主訴:入眠剤を飲んでも十分な睡眠が取れない、日中に眠気が強い日がある
  • TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
  • TMS治療プロトコール:倍量iTBS(1,200発/回)を30回

これまでの経過

うつ病にて他院精神科に通院中の患者様です。

薬物療法や行動療法を実施するも、不眠の訴えと共に反復性に抑うつ状態を呈しているため当院でのTMS治療を希望されました。

マイスリー(睡眠導入剤)、サイレース(睡眠導入剤)、ドグマチール(抗精神病薬)、イフェクサー(抗うつ薬)を服薬されています。

TMS治療経過

うつ病89の心理検査の結果をご紹介します

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

抑うつ状態を改善するため、倍量iTBS(1,200発/回)を30回行いました。

TMS10回終了時点では大きな変化はなく経過していました。副作用等はなかったとのことです。

TMS20回終了時になると「頭がクリアになっている感じはあります」とお話され、睡眠についても「最近はメリハリがつくようになりました」とお言葉がございました。

TMS30回終了時は抑うつ気分や睡眠の浅さも更に改善し、読書等にも集中できているようでした。

また、心理検査上でも症状の改善が窺える結果となりました。

倍量iTBS(1,200発/回)での維持療法に移行し、他院での薬物療法も継続することとなりました。

症例のまとめ

週4日のペースで1日に2回ずつ治療に臨まれ、30回の治療を終えられました。

治療中盤までの変化は緩やかであった一方、治療回数を重ねるうちに抑うつ状態と睡眠状態が改善されていく様子が窺えました。

薬物療法を実践する中でもうつ病を反復している状態でしたが、TMS治療を併用することで治療効果が増強されたこと可能性が考えられます。

薬では化学的に、TMSでは物理的に神経可塑性に影響を与えて治療効果が発揮されることが推測されます。

これまでの治療かTMS治療かの2択ではなく、相乗効果を得るための選択肢としてTMS治療を捉える症例となりました。

【お読みいただいた方へ】
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「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2022年12月23日

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