うつ病における安静時機能的MRIによる背側ネクサスを介したネットワーク間の接続性の増加
こちらの論文は、
のページに引用しています。
背側ネクサス抑制がうつ病に効果?
こちらの論文は、うつ病患者さんの安静時での脳fMRiによって、脳ネットワークとの機能的なつながりを調べた論文になります。
こちらによれば、うつ病患者さんでは、デフォルトモードネットワークを含む3つの脳ネットワークで、背側ネクサスとよばれる背内側前頭前野領域への接続性が増加していることが確認されました。
うつ病では様々な症状が認められますが、異なる脳ネットワークで生じている症状と考えられてきましたが、これらが同時に相乗的に作用するメカニズムがあるのかもしれません。
背側ネクサスとよばれる背内側前頭前野の抑制は、将来的なうつ病治療のターゲットになるかもしれません。
こちらの論文では、本文中にデフォルトモードネットワークについての記述があり、デフォルトモードネットワークがエネルギ効率が悪く疲労と関係していることが記されています。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
アブストラクト
我々は、大うつ病における内在的な脳のつながりをより深く理解するために、機能的MRI(fMRI)を用いて安静時の機能的なつながりを測定する神経画像技術を用いた。
認知制御ネットワーク、デフォルトモードネットワーク、情動ネットワークという3つの異なる脳ネットワークを調査した。
うつ病患者では、対照群と比較して、これらの3つのネットワークのそれぞれに関して、同じ両側の背側内側前頭前野領域(以下、背側ネクサス)への接続性が増加していた。
背側ネクサスは、3つのネットワークの大部分に関して、うつ病に関連したfMRIの接続性が劇的に増加していた。
背側ネクサスを介してこれらの領域が連結されていることは、異なるネットワークで生じると考えられている大うつ病の症状(認知的作業に集中する能力の低下、反芻、過度の自己集中、警戒心の増大、感情・内臓・自律神経系の調節障害)が、同時に発生し、相乗的に作用するメカニズムを説明する可能性を示している。
この結果は、新たに発見された背側ネクサスがうつ症状に重要な役割を果たしていることを示唆しており、事実上、ネットワークを「ホットワイヤリング」していることになる。
さらに、背側ネクサスの接続性の増加を抑制することが治療ターゲットになる可能性も示唆している。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年10月23日
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