肥満症に対する深部経頭蓋磁気刺激治療(dTMS)を受けている患者における衝動性の低下
こちらの論文は、
のページに引用しています。
deepTMSでレプチンにより衝動性と肥満が改善される?
こちらの研究は、肥満症の方にdeepTMSを行い、心理状態とホルモンの関係を探ったRCTになります。
こちらはH字コイルという特殊なdeepTMSを行っていて、前頭前野と島を両側から刺激しています。
結論としえてゃ、衝動性スコアとレプチンレベルに正相関が認められたとなっています。
レプチンは抗肥満ホルモンとよばれていますので、deepTMSによってレプチンレベルが変化し、それが衝動性軽減やBMI低下につながる可能性が示唆されます。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
目的
本研究の目的は、肥満者を対象とした5週間の深部経頭蓋磁気刺激(dTMS)前後で、有効な心理測定テストにより様々な心理症状を調査し、神経内分泌パラメータとの関係の可能性を明らかにすることである。
方法
肥満患者45名(女性33名、男性12名、年齢48.8±9.9歳、体重97.6±14.2Kg、BMI36.2±4.2)を2群に無作為に分け、26名に高頻度(HF)dTMS実刺激を、19名に偽刺激を5週間処置した。
ベースライン時および5週間の治療後、全患者に以下の心理測定を実施した。
食欲調査票(FCQ-T)およびその下位尺度、バラット衝動性尺度-11(BIS-11)、状態および特性不安尺度(STAI-y1およびSTAI-y2)、Beckうつ病尺度(BDI)。ホルモンおよび神経内分泌マーカーは、初回と最終回のdTMSセッションで評価した。
結果
ベースライン変数と治療群について調整したところ、一変量解析(p=0.019)および多変量解析(p=0.012)の両方で、HF群では体重とBMIの有意な減少が認められた。
衝動性は、単変量解析(p=0.031)および多変量解析(p=0.011)の両方で、HF群で有意に低下していた。
衝動性スコアの変化とレプチンレベルの変動との間に正の相関が認められた(p=0.031)。
結論
実刺激による肥満者の衝動性の低下とBMIの低下は、衝動性が肥満の危険因子である可能性を示唆している。
dTMSによる治療は、前頭前野(PFC)の抑制能力を高め、神経内分泌系(特にレプチン)を調節することにより、BMIと衝動性の両方の減少に有効であることが明らかとなった。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年3月12日
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