【気分変調症③】50代女性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/8月~X年/10月の52日間
- 主訴:やる気がおきない、集中力低下、不眠
- TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
- TMS治療プロトコール:倍量iTBS(1,200発/回) 30回
これまでの経過
5年前に他院精神科受診歴のある患者様です。
コロナウイルス感染症への罹患を契機に抑うつ状態が憎悪したため、当院でのTMS治療を希望されました。
当院での治療開始時点で服薬はございませんでした。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
抑うつ状態を改善するため、倍量iTBS(1,200発/回)を30回行いました。
TMS10回終了時は「集中しやすくなった」とお話され、調子の良い日もあったご様子でした。
気分の波や朝の不調などは残存していましたが、頭痛等の副作用はなく経過していました。
TMS20回終了時には「良くなっている感じがある。10回のときより良いと思う」とのお言葉がございました。
17回目あたりから元気が出てきたご体感があり、運動も始められたとのことでした。
TMS30回終了時は「水泳再開できた。泳いでみたら楽しめた」とお話され、数年ぶりに水泳に挑戦されたとのことでした。気分の落ち込みも更に軽減したご様子でした。
心理検査上でも、HAM-Dでは抑うつ気分や仕事・活動に関する項目で、MADRSではネガティブな思考や活動に関する項目で大幅な症状改善が見られました。
当院でのTMS維持療法へ移行することとなりました。
症例のまとめ
週4~5日、1日2回治療も交えながら通院され、30回の治療を終えられました。
コロナ後遺症による抑うつ症状にお困りとのことで「コロナ後遺症TMS治療探索プロジェクト」の研究結果をお待ちいただいていましたが、早期治療を希望されTMS治療の導入に至りました。
治療初期の段階ではご気分に波があり、ご本人もその状態にお悩みのようでしたが、治療回数を重ねる中でお心持ちに変化が見られました。
治療終盤には長年取り組めずにいた水泳に再挑戦できるまでになり、明るく活動的になられた印象です。
コロナウイルス感染症への罹患を契機とする抑うつ状態に対し、TMS治療が有用であることが示された症例となりました。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2023年1月26日
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