全般性不安障害に対する反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS):系統的な文献レビューとメタアナリシス
こちらの論文は、
のページに引用しています。
不安障害にもTMSは効果が期待
こちらの論文は、不安障害に関するTMS治療のメタアナリシスになります。
不安障害は抗うつ剤の治療が一般的ですが、反応が乏しい方も少なくありません。
非薬物療法でのエビデンスも乏しいため、TMS治療も効果が期待されています。
クライテリアに該当するのは6件の研究152名ですので、症例数は十分とは言えません。
ですが全般性不安障害に対して、rTMSは一貫して効果が期待できるという結果となっています。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
背景
全般性不安障害(GAD)などの不安障害は、米国人口の10%に影響を与え、多くの患者は第一選択治療(例:選択的セロトニン再取り込み阻害薬、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、心理療法)に完全に反応しない。
非薬物的、非精神療法的介入に関する証拠が乏しいことから、我々は成人のGAD患者における反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の系統的レビューおよびメタ解析を行った。
方法
PRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses)ガイドラインを用いた系統的文献レビューを実施した。
治療前後の不安スコアを抽出し、改善の大きさ(標準化平均差)を決定するためにランダム効果メタ解析を実施した。
異質性(例:Q統計量、I2、τ2)および出版バイアスの標準的な評価が行われた。
結果
最初の検索で3194件の引用があり、そのうちの6件の研究がメタ解析に含まれた。
合計152人の患者が研究対象となり、そのうち97人が実治療を受け、55人が偽治療を受け、異質性は中程度であった(I2 13.32、Q=5.77)。
GAD患者において、rTMSは-1.857(信頼区間:-2.219~-1.494;P<0.001)の標準化平均差を生み出し、予測区間は-2.55~-1.16であった。
結論
異質性を含む限られた研究の中で、GADにおけるrTMSの一貫した効果を示唆する結果が得られた。
GADおよび関連する不安障害に対するrTMSの厳密なデザインのランダム化対照試験が緊急に必要である。
これらの研究は、バイオマーカーを開発し、エビデンスに基づく心理療法を同時に行うことで、結果を最大限にする機会を提供するものである。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。
また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。
取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。
執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年3月5日
関連記事
スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
投稿日:
人気記事
子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
投稿日: