アメリカとヨーロッパの大うつ病治療ガイドライン
こちらの論文は、
のページに引用しています。
エピソードの回数で維持療法の期間が異なる
こちらの論文は、欧米の過去10年間のメジャーなうつ病治療ガイドライン6つについて比較検討した論文になります。
軽症うつ病についての治療選択肢がガイドラインによって差があり、ガイドラインによっては運動療法を推奨しているものもあります。
一貫して中等度以上のうつ病には、薬物療法をはじめとした治療が推奨されています。
中等度というと、仕事や家事などに支障をきたして休養を要する状態ですので、そのレベルまで状態が良くない場合は抗うつ剤を検討する必要があります。
欧米は日本と異なり、原因よりも症状の程度で抗うつ剤を使うべきか、画一的に判断する傾向にあります。
この論文を参照させていただいたのは、お薬による維持療法の期間についてになります。
うつ病エピソードが初回の場合は、4~9か月の維持療法が推奨されています。
一方で、2回以上のエピソードがあると再発率が高まりますので、1~3年ほどの維持療法が推奨されています。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
アブストラクト
アメリカとヨーロッパの主要なうつ病治療ガイドラインには、治療計画の個別化、長期治療の可能性に対する患者の準備、測定に基づくケア、寛解に向けた治療など、同様の治療の基本原則が示されている。
ガイドラインはすべてエビデンスに基づいて作成されているが、コンセンサスグループの構成、基本的な義務、文化的な考え方など、特定の要因が特定の推奨事項の違いに影響を与えている。
ここでは、過去10年間に発表された欧米の6つのガイドライン(American Psychiatric Association、British Association for Psychopharmacology、Canadian Network for Mood and Anxiety Treatments、National Institute for Health and Clinical Excellence、Texas Medication Algorithm Project、World Federation of Societies of Biological Psychiatry)の共通点と相違点を検討した。
これらのガイドラインにおいて、軽度のうつ病に関して最も推奨治療法に相違がある。
すべてではないが、一部のガイドラインでは、運動や経過観察で解決する可能性があるとしているが、初期の努力が実らない場合には、心理療法や抗うつ薬を使用しても良いとしている。
中等度の大うつ病と重度の大うつ病に関しては、各ガイドライン間でほぼ同様の推奨がなされている。
中等度の大うつ病に対する第一選択の治療法としては、抗うつ薬の単剤投与、心理療法、およびその両方の併用が推奨される。
重度のうつ病では、抗うつ薬と抗精神病薬の併用、電気けいれん療法、または抗うつ薬と心理療法の併用が必要となる可能性がある。
ベンゾジアゼピン系薬剤のうつ病治療における役割は非常に限られている。
患者が緊張型うつ病、急性自殺傾向のあるうつ病、または不安、焦燥、不眠の症状を伴ううつ病である場合、ベンゾジアゼピン系薬剤は、短期治療に限っていくつかのガイドラインで推奨されている。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年9月22日
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