MCIと早期アルツハイマー病患者でのrTMSの認知増強:システマティックレビューとメタアナリシス
こちらの論文は、
のページに引用しています。
rTMSは認知機能の改善につながる
こちらの論文は、軽度認知機能障害とアルツハイマーに対するTMS治療の認知増強作用を調べたシステマティックレビューになります。
こちらの結果によれば、どのようなプロトコール(パラメーター)でも認知機能にはポジティブな影響が認められていました。
とくにDLPFCに対する10Hzでの20セッションでのrTMSが認知増強をもたらすことができること、そしてMCIの方がベネフィットが大きいことが示されました。
DLPFCに対する高頻度rTMSは、認知機能改善が期待できる可能性があるかもしれません。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
アブストラクト
非侵襲的な脳刺激法である反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は、軽度認知障害(MCI)やアルツハイマー病(AD)の患者の認知機能障害に有効な治療法となる可能性があると考えられている。
しかし、これまでの研究では、rTMSのパラメータが多様であることや、ADの特徴的な病期を含む個人差があることから、この治療法の有効性についてはまだ議論の余地がある。今回のメタアナリシスは、MCIおよび早期AD患者に対するrTMS治療の認知機能増強を評価することを目的としている。
3つのデータセット(PubMed、Web of Science、CKNI)を相対的な用語で検索し、最終的に13のランダム化二重盲検比較試験における438人(rTMS群231人、対照群207人)の12件の研究が含まれた。
ランダム効果分析の結果、MCIおよび早期ADの患者において、rTMS刺激は対照群と比較して有意に認知的利益をもたらすことが明らかになった(平均効果量、1.17;95%CI、0.76-1.57)。
rTMSのパラメータ(周波数、セッション数、刺激部位数)のほとんどの設定がグローバルな認知機能を有意に向上させ、その結果、繰り返し周波数10Hz、刺激部位DLPFCに対する20セッションのプロトコルが認知機能改善をもたらすことができることが明らかになった。
また、rTMSの認知機能向上は治療終了後1ヶ月間持続し、MCI患者はrTMS刺激の恩恵をより多く受ける可能性があることがわかった。
我々のメタアナリシスは、MCIと早期AD患者におけるrTMSの認知機能強化に重要な証拠を加え、rTMSによって誘発される効果に関する潜在的な基礎メカニズムについて議論した。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年3月5日
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