【双極性障害⑨】20代女性
プロフィール
- 治療期間:X年11月~X年1月の64日間
- 主訴:抑うつ症状、眠れない
- TMS治療の目的:抑うつ状態・不安の改善
- TMS治療プロトコール:右低頻度(1,800発/回) を30回
これまでの経過
他院精神科に通院されていた方です。
知能検査の結果ADHD疑いの診断を受け、過去には躁症状のエピソードも見受けられました。
治療前の段階では、抑うつ・不安症状が消長している状況でした。
また、治療前の段階で妊娠6ヶ月ということで、ご本人・ご家族に対し副作用やリスクの説明を実施しました。
その上でうつ症状に対するTMS治療のご希望があり、治療を開始しました。
マイスリー(睡眠薬)を内服中です。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
抑うつ・不安症状を改善するため、右低頻度(1,800発/回)を30回行いました。
TMS10回終了時には、「少し気分が高いことがあったが、気分の落ち込みが減った」と抑うつ・不安症状についての変化を感じ始めたようでした。
TMS20回終了時には、「元気になっている。たまにイライラが出ることがある。前回(治療10回目終了時)と気分変動は変わっていない」と症状が改善し始めた状態を維持できているご様子でした。
TMS30回終了時は、「夫の仕事が忙しいとお互いピリピリしちゃうが、前よりもいいと思う」とお話になり、治療前よりも落ち込み・不安症状が低減したようでした。
睡眠も充分に取ることができており、心理検査上でもご本人の体感を表すような結果が出ていました。
症例のまとめ
ご出産を控えていたため、TMS治療は30回で一旦終了されました。
出産後に薬物療法を再開し、TMSの維持療法も検討されるとのことでした。
妊娠中のTMS治療でご不安もあった中、前向きに治療に取り組んでいただき右低頻度(1,800発/回)の30回治療を無事終えることが出来ました。
妊娠中のTMS治療については、お薬を使いにくい状況ですので本来は良い適応なのですが、子癇発作などが起きるリスクを考えて、原則行わないことになっています。/p>
本症例は院内でも慎重な検討を重ね、万全の準備のもとで治療にのぞみました。
患者様の体感としても効果が得られており、治療の意義を感じられるケースでした。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。
また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。
取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年10月9日
関連記事
スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
投稿日:
人気記事
子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
投稿日: