ニコチン消費と渇望における反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の効果:システマティックレビュー
こちらの論文は、
のページに引用しています。
ニコチン依存症では左DLPFC高頻度刺激のみ有効かもしれない
こちらの論文は、ニコチン依存症に対するTMS治療について統計分析したものになります。
結論として、ニコチン依存症に対しては左背外側前頭前野(DLPFC)に対する高頻度TMS刺激のみが有効な可能性が示されています。
アメリカFDAでは、ニコチン依存症に対するbrainswayのTMS治療機器が正式に認可されていますが、そのターゲットも左DLPFCになります。
ただしbrainswayの治療機器は少し特殊で、deepTMSを中心とする刺激方法になります。
また禁煙治療では、認知行動療法やセルフヘルプ法、お薬によるニコチン置換などを組み合わせて行うことが効果的とされています。
従来のニコチン依存症治療では禁煙が達成できなかった場合に、TMS治療を組み合わせる形で禁煙達成を目指すことができるかもしれません。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
喫煙依存症の被験者を対象として反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を用いた研究のシステマティックレビューを行った。
前頭前野(PFC)、特に左背外側前頭前野(DLPFC)を対象とした高頻度(HF)rTMSは、健康ではないニコチン依存症の人のタバコ消費と渇望に対する保存的で革新的な治療手段となる可能性がある。
rTMSは統合失調症と同様にこの適応疾患にも有効であるが、結果は相反するものであり、大規模試験での十分なエビデンスはまだ不足している。
深部rTMSやシータバースト刺激などの脳刺激の特殊な技術を用いて、有望な結果が得られている。
マルチターゲットHFのrTMSは禁煙にも有効である可能性がある。
fMRIや脳波記録は治療効果を客観的に評価するのに有用であることが証明されている。
TMSは、エビデンスに基づいた自助介入、認知行動介入およびニコチン置換療法と組み合わせて行うと最も効果的であると考えられる。
しかし、最近の研究では異なるプロトコルが採用されており、異質な結果が得られているため、サンプルサイズが大きく無作為化の基準が厳格な、さらなる対照研究で再現されるべきである。
現在までのところ、ニコチン渇望と消費において左DLPFCに対するHF-rTMSが有効である可能性以外には、代替的なrTMSの手順を推奨することはできない。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年2月25日
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