禁煙のためのニコチン代替療法と併用したTMS
こちらの論文は、
のページに引用しています。
薬による治療とTMS治療の併用が効果的
こちらは右DLPFCによる低頻度TMS治療とニコチン代替療法の併用が効果的かを比較したRCTになります。
ニコチン依存症に対するTMS治療は、左DLPFC高頻度刺激の方が効果が報告されています。
しかしながらうつ病に対するTMS治療と同様に、左と右はバランスをとっているために、右を低頻度で抑制することで治療効果を期待することができます。
一般的にTMSでは渇望を抑える効果が期待できるため、離脱症状を和らげるニコチン補充療法を併用することで、禁煙成功率を高めることができるかを調べました。
併用したほうが禁煙効果は認められましたが、効果の持続性は示すことができませんでした。
このように持続性は証明されていませんが、ニコチン依存症に対してTMS治療を行うにあたっては、従来のお薬による禁煙治療を併用したほうが効果的とされています。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
背景
さらなるエビデンスは、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)が喫煙者のタバコ渇望を軽減する効果的な方法であることを示唆している。
仮説
禁煙後数日以内に再発することが多いため、rTMSの抗渇望効果と離脱症状を減衰させるニコチン補充療法(NRT)を組み合わせることで、重度のニコチン依存症を持つ喫煙者が禁煙した場合の禁煙率を高めることができるのではないかという仮説を立てた。
方法
通常の治療で禁煙に失敗した37人の喫煙者を2つの治療群に無作為に割り付け、右背外側前頭前野に対して実刺激(n=18)または偽刺激(n=19)の1Hz rTMSを実施した。
禁煙翌日に、各患者はNRT(21 mgパッチ)と実刺激または偽刺激のrTMS(10回)を2週間組み合わせた。
その後、より低用量のパッチを用いてNRT単独で禁煙支援を継続した。
禁煙率と自己申告による渇望尺度を用いて、併用治療中および禁煙後12週間までの治療効果を評価した。
結果
併用治療の終了時には、実刺激群(n=16)の方が偽刺激群(n=9)よりも禁煙患者数が有意に高かった(P=0.027)。
渇望尺度分析では、実刺激群(P=0.011)は強迫因子の有意な減少につながったが、偽刺激群(P=0.116)はそうではなかった。
しかし、持続的なrTMS効果は認められなかった。
結論
1HzのrTMSとNRTを併用することで、喫煙者のタバコ禁煙時の禁煙成功率が改善された。
刺激による強迫性の低下でこの結果を説明出来る可能性がある。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年2月26日
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