【強迫性障害①】47歳女性

プロフィール

  • 治療期間:X年6月~X年7月の52日間
  • 主訴:他人への加害恐怖、不潔恐怖
  • TMS治療の目的:強迫症状の改善
  • TMS治療プロトコール::deepTMS(2,000発/回) 30回

これまでの経過

X年5月頃より仕事でプレッシャーがかかり、元々あった強迫症状が増悪しました。

具体的な症状は、「自分が作ったものや食器が汚くて、誰かが調子崩したらどうしよう。」「仕事で人と接する際に強迫症状がある。」「個人情報が気になって紙を捨てられない。」「運転をしていて人にぶつかってしまったのではないか、轢いてしまったのではないか。」「誰かが自分のせいで迷惑を被るのではないか。」といった不潔恐怖や加害恐怖が強まっていました。

できれば薬を使用したくないとのことで、当院のdeepTMS治療をご希望されました。

35歳時に強迫性障害と診断され、薬物療法を行っています。

デプロメールを内服し、 効果の自覚は認めていました。

TMS治療経過

強迫性障害症例1の心理検査の結果になります。

※Y-BOCSは強迫性障害の重症度評価です。

強迫症状を改善するため、deepTMS(2,000発/回)を30回行いました。

暴露行為は、治療7回目から開始。

7回目~9回目は、治療ブース内にある水道でお皿を実際に洗ってもらいました。

「自分が洗った食器への恐怖が全く無くなった」とのことで、10・11回目は、強迫症状が誘発される物事を治療前1分間思い出してもらいました。

12・13回目は、スタッフの過去のシフト表を破かずそのままゴミ箱に捨ててもらいました。

14回目以降、スタッフ用ペーパータオルを床に逆さに落としてもらいました。

TMS10回終了時は、「強迫が減ってきたと思う。囚われていても仕方ないなと思えるようになってきた。」と効果の実感がありました。

TMS20回終了時は、「強迫症状は気にはなるけど、しょうがないと思える。強迫行為も我慢できる日もある。前よりも我慢できる感覚がある」とのことでした。

TMS30回終了時、診察では「調子よい。強迫症状が減った。我慢できるようになってきた。」と、治療ブースでは、「今私生活で困っていることが無くなった。」と、効果を実感されていました。

良好な治療反応をみせ、終診となりました。

症例のまとめ

かなり早い段階で効果を実感されていました。

強迫性障害に対しては抗うつ剤も併用して治療していくことが一般的ですが、ご本人の希望があり薬を使わずにTMS治療を開始しました。

週3回の通院が厳しいとのことで、当初は10回での治療終了をご希望されました。

担当医師より治療の特性をご説明し、11回目以降は1日2回治療を行いました。

30回目まで治療を受けていただいたことにより、主訴の改善が認められました。

【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。

医療法人社団こころみ採用サイト

また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。

取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年8月21日

\ この記事をシェアする /

TWITTER FACEBOOK はてな POCKET LINE

関連記事

スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

投稿日:

【2024年8月最新】東京のTMS治療クリニック21院!見極めポイントを精神科医が詳しく解説

目次 東京TMSクリニック® 東京でのTMS治療 東京で安心できるTMSクリニック5選 東京でTMS治療を受けられるその他の16医療機関 TMS治療クリニックの選び方 東京横浜TMSクリニックについて 感染対策について … 続きを読む 【2024年8月最新】東京のTMS治療クリニック21院!見極めポイントを精神科医が詳しく解説

投稿日:

コロナ後遺症に対し新規経頭蓋磁気刺激法(rTMS)による治療開発 ~多施設共同ランダム化プラセボ対象比較試験の開始~

臨床研究の概要 医療法人社団こころみ東京横浜TMSクリニックは、「コロナ後遺症に伴う不安抑うつ・認知機能障害に対する新規経頭蓋刺激療法(rTMS)による治療法開発に向けた多施設共同試験」を実施いたします。 新型コロナウイ… 続きを読む コロナ後遺症に対し新規経頭蓋磁気刺激法(rTMS)による治療開発 ~多施設共同ランダム化プラセボ対象比較試験の開始~

投稿日:

人気記事

子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

投稿日:

スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

投稿日:

精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

「車がないと会社に通勤できない」 「仕事で車を運転する必要がある」 「生活するうえで、車がないと困る」 日常生活の中で、車の運転が必須になっている方もいるでしょう。 それは、精神疾患の治療をしている患者さんも同じです。お… 続きを読む 精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

投稿日: