産後うつ病でのニューロスタによるrTMSの効果

こちらの論文は、

のページに引用しています。

産後うつに左高頻度DLPFC刺激は効果が期待できる

こちらの論文は、産後のうつ病患者さんに対するニューロスターTMS治療での効果を調べたものになります。

精神病症状のない中等度以上のうつ病患者さん19名のうち、14名(73.7%)が寛解を達成したという結果になっています。

産後うつ病では、授乳への懸念からお薬の治療に抵抗を感じる方も少なくありません。

とくにうつ症状のために不安が強くなっていると、なおされ心理的な抵抗が強まります。

TMS治療は、産後うつ病には非常に向いている治療になります。

サマリーのご紹介

産後うつのニューロスターでのTMS治療についての論文です。

英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。

以下、日本語に訳して引用させていただきます。

背景

産後うつ病(PPD)は産後女性の10~15%にみられる。

薬物療法は頻繁に推奨される治療オプションであるが、患者の受容性は母親の懸念によりあまり高くないことが多い。

予備的なエビデンスから、PPD患者へのTMSの使用が有望であることが示されている。

方法

出産後に発症し、少なくとも中等度の重症度である単極性非精神病性MDDの無投薬外来患者が登録された(Edinburgh Postnatal Depression Scale(EPDS)>9)。

現在の疾患は分娩の第3期から出産後6ヵ月までの間に発症し始め、患者は出産後9ヵ月以内に登録された。

治療は4週間から8週間にわたって左前頭前野ニューロスタTMSを毎日実施した。

主要アウトカムは、EPDSの合計スコアを用いて評価した抑うつ症状の変化とし、寛解を主要な副次的アウトカム指標とした。

結果

最終解析には19名の患者が含まれた。

EPDSの平均ベースラインスコアは20.6(標準偏差-4.15)、平均急性期終了スコアは8.2(標準偏差-6.50)であった。

14名の患者が8週間のTMS療法終了時までに症状の寛解(EPDS<10)を達成した。重篤な有害事象はなかった。

結論

ニューロスタTMSは、出産後にMDDを発症した女性の治療において、単独療法の選択肢として有効である。

急性期治療では、合計73.7%(14/19例)の患者が抑うつ症状の寛解を達成した。

これらのデータは、ニューロスタTMS療法がこの患者集団にとって有望な非薬物療法の選択肢であることを示唆している。

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年3月6日

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