うつ病の再発リスク
こちらの論文は、
のページに引用しています。
うつ病の再発リスクファクター
こちらの論文は、うつ病の再発リスクについて詳しくレビューした内容になります。
うつ病は再発率の高い病気で、再発をする方は何度も繰り返してしまう特徴があります。
再発してしまう方にはどのようなリスクファクターがあるのか、それについて調べています。
再発してしまう方の多くに遺伝的な脆弱性があることがわかっており、さらに心理社会的な環境面でのリスクが重なることで再発率が高まると結論付けられています。
具体的には、若くしての発症や重症度の高さ、合併症の多さといった病状の特徴があり、家族歴や神経症傾向、否定的な認知パターンといった遺伝や気質的な要因、社会的なサポートの少なさやストレスイベントなどが再発リスクと関連しています。
臨床的に再発リスクが高そうな方は経験的にもわかってきますが、このように同定することで改めて意識することができます。
このような場合には、維持療法を慎重に行っていく必要があります。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
アブストラクト
うつ病は、個人的にも公衆衛生的にも重大な影響を及ぼす再発性の高い疾患である。
再発を防ぐことは非常に望ましいことであるため、研究者たちは、うつ病の初回発症時の危険因子とは異なる、再発に特異的な危険因子を特定し始めている。
この分野の研究における方法論上の問題点を簡単に検討した(例:「再発」や「うつ病」の様々な定義)。
続いて、人口統計学的変数(性別、社会経済的地位、配偶者の有無)、臨床的変数(初回発症年齢、過去のエピソード数、初回/指標エピソードの重症度、併発している精神病理)、精神病理の家族歴、心理社会的・精神的変数(心理社会的機能レベル、認知、パーソナリティ、社会的支援、ストレスの多いライフイベント)など、特定の危険因子に関する研究をレビューした。
さらに、これらの変数と再発性うつ病がどのように関連しているのかを説明できる可能性があるかどうかについて、いくつかの理論を評価した。
我々の検討によると、再発性うつ病は、大部分が遺伝的な脆弱性を反映しており、その脆弱性が高い人は、うつ病エピソードが再発するだけでなく、再発性うつ病にしばしば伴う重大な心理社会的危険因子にも脆弱性があると考えられる。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。
また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。
取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。
執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年9月22日
関連記事
スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
投稿日:
人気記事
子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
投稿日: