【TMS治療】おすすめクリニック・病院選びの比較ポイント

TMS治療とは?

TMS治療の自由診療と保険診療の違いをまとめました。

TMS治療は、磁気を利用して頭蓋骨を飛び越え、脳の特定部位をピンポイントで電気刺激して脳の働きを整える治療法です。

欧米では30年近くの歴史ある治療法で、2019年6月には日本でも保険適用となりました。

うつ病の新しい治療法として、近年日本でも注目が高まっています。

ですがTMS治療は、保険適用の制約がとても厳しいため一部の病院でしか行えず、海外の新しい治療法などは行えないのが実情です。

また治療を行っている医療機関も少ないために、治療開始までに時間がかかってしまいます。

保険診療と自由診療

自由診療でのTMS治療の広がり

そのため当院のように、自由診療でTMS治療を提供するクリニックも増えてきました。

TMS治療が必要な患者様に届きやすくなったたメリットはありますが、その反面、ビジネスの側面を重視する医療機関が出てきてしまいました。

そして残念ながら誇大広告など不適切な情報がインターネット検索では上位を占めてしまっており、患者さんがミスリードされている現状があります。

たとえば治療効果が8~9割という広告をみかけますが、そのような治療であればとっくに薬物療法よりメジャーな治療となっているはずです。

当院の治療水準は非常に高いと自負しておりますが、うつ病において寛解が50%、治療反応が70%強となります。

適切な方に「TMS治療」を

うつ病治療においてTMSは非常によい治療法ではありますが、病気の状況によっては心理療法や薬物療法などが適切な方もいらっしゃいます。

TMS治療は、あくまで治療選択肢のひとつになります。

先ほど述べさせていただいた治療効果だけでなく、症例数や経歴などを誇張している医療機関もあります。

HSPやADHDといった発達障害など、明らかに適応外に対しても、TMS治療をすすめているクリニックもあります。

発達障害に対するTMS治療は日本精神神経学会も警鐘を鳴らしており、専門家中心に問題視されている「ADHDやASDに対する治療効果をうたっているところ」は避けるだけでも、安心したTMS治療をうけていただくことにつながるかと思います。

今回は、TMS治療の医療機関を選ぶ際に確認してほしいポイントを7つご紹介し、当院での取り組みと併せてご紹介します。

納得できるTMS治療を受けられるためにも、ぜひチェックしてみてください。

関東首都圏のTMS医療機関

東京と神奈川、千葉埼玉といった関東首都圏のTMS医療機関につきまして、それぞれ以下の記事でご紹介させていただいています。

東京のTMS医療機関

神奈川のTMS医療機関

千葉・埼玉のTMS医療機関

その他のTMS医療機関

大阪・京都・名古屋のTMS医療機関

TMS治療の医療機関を選ぶ7つのポイント

1.費用の違い

TMS治療の保険診療と自由診療の違いを比較したイラストです。

TMS治療の治療費は保険診療か自由診療かどうかによっても異なりますし、医療機関によっても治療費は異なるため、どの医療機関を選ぶかによって大きく費用は変動します。

実は日本においては、保険診療と自由診療による治療の場合にかかる最低費用では、最低ラインの価格帯のクリニックだけを比較すると実はさほど変わらない、という状況になってきています。

また保険診療は、治療を受けるには厳格な適応基準が設けられていて、治療開始までに時間がかかってしまう可能性が高いです。

クリニックでのTMS治療は自由診療となり、医療機関側が自由に治療費を設定できますので、治療費に大きく差が生まれています。

アメリカでのTMS治療は「200~400ドル/1回」になりますので、その3割の60~120ドルが本来の相場といえるかもしれません。

ちなみに当院では、TMS治療を「6,600円/1回」を基本料金設定として、「4,620円/1回」からTMS治療を行うことができます。

これは私たちが利益というより臨床研究目的でTMS治療に取り組んでいるためリーズナブルなので、値段で治療の質が変わるわけではありません。

また、1年間の医療費が一定の金額を超えた場合は、「医療費控除」が申請できます。

自由診療でのTMS治療は短期集中治療も可能なので、トータルでみれば費用対効果が良い場合もあります。

TMS治療費の相場

2.アクセス ~近場通院か宿泊短期集中~

TMS治療とアクセスについてイラストにしました。

TMS治療はまだ新しい分野であり、まだまだ限られた医療機関でしか実施していません。

TMS治療は、はじめに集中して治療を受けていく必要があります。

そのためご自身が通いやすい医療機関を選び、無理なく通院を続けることが大切です。

「通いやすさ」も大切にして、医療機関を探しましょう。

当院のように短期集中治療が実施できる医療機関では、最短で2週間の治療スケジュールが可能になります。

遠方からも来院いただき、近くのビジネスホテルなどに2~3週間滞在いただいて集中治療を行うことも可能です。

ですが心の病気の治療では、症状がよくなっても経過を見ていかなければならないことも多く、ご自身で客観的な判断をすることが難しいです。

このため必要に応じて、近くですぐに相談できる主治医を見つけていただくことも大切です。

3.経験豊富な精神科医による診察の有無

TMS治療は精神科医の診察が大切です。

TMS治療を行うためには、第一に「患者さんにとってTMS治療は適切か?」を判断する必要があります。

この点は、TMS治療経験だけではなく、こころの治療の経験値が問われる領域で、精神科医としてきちんとしたお薬による治療経験を積んできているのかが重要です。

心の治療経過を理解していなければ、とても適切なTMS治療を行うことはできません。

rTMS療法以外の領域もしっかり踏まえたうえで、再発予防なども患者さまごとに考えていく必要があります。

安心して治療を進めるためにも、精神科医が診察している医療機関か、受診の前に確認するようにしましょう。(精神科指定医や専門医など、有資格者が中心であることが一般的で、顧問などで見せかけている医療機関もあります。)

また全国の大学病院や公的研究医療機関、精神科病院やクリニックによる多施設臨床研究が行われています。

当院も参画しておりますが、こちらに参加している医療機関は少なくとも、安心してTMS治療を受けることができます。

4.TMS以外の治療選択肢があるか

TMS治療は心の治療選択肢のひとつです。

TMS治療は非常に可能性がある治療法ですが、薬物療法や心理療法の方が向いている方もいらっしゃいます。

あくまで感情や気持ちを安定させてくれるためのひとつのツールであり、こころの病気の治療方法はTMS治療だけではありません。

抗うつ剤とTMS治療を併行して行うことで、治療効果が高まることも報告されていますし、なかにはTMS治療自体に適していない方もいらっしゃいます。

過度にTMS治療だけを推奨し、その他の選択肢を否定される場合には、少し注意が必要かもしれません。(自由診療のみのクリニックでは、TMS治療のみになりがち)

まずはご本人の症状をしっかり理解したうえで、TMS治療をあくまで複数ある選択肢のひとつとして並べてくれる、そんな医療機関を選ぶのがベストでしょう。

5.使用している治療機器

TMS治療の医療機器の日本での現状をイメージにしました。

TMS治療の機器はいくつか種類がありますが、信頼性を判断する際は、日本よりも先を行く米国の「FDA認証」を受けているかが目安となります。

FDAとは「アメリカ食品医薬品局」のことで、日本でいうと厚生労働省にあたる公的機関です。

日本では、保険診療はニューロスターのみ認可されていますので、保険診療の場合の治療機器については一択ということになります。

一方、自由診療で利用されているのはマグプロとタマスが多いですが、短時間治療が可能なiTBSでのFDA認証を受けているのはマグプロになります。

認証を受けていないタマスの導入数が多い理由としては、機械導入費用が安く、マグプロと比べると費用が半分以下で済むためです。

当院では、機器の安定性の高さとFDA認証済の信頼性を重視して、マグプロを導入しています。

TMS治療機器の違い

6.知識と技術のバックボーンとアップデート

TMS治療は欧米での治療経験があり、最新知識を常にアップデートする必要があります。

TMS治療は世界的にみると30年あまりの歴史があり、その治療法は標準化されてきています。

これには人種なども関係なく、人種のるつぼと呼ばれるアメリカでも同様の治療が行われています

しかしながら新しい分野であるTMS治療は、日々新しい研究結果が発表され、国内・海外問わず、多くの論文が発表されています。

当然、これらの知識を日々吸収し、技術レベルを磨き続けているクリニックを選択するのがベストです。

当クリニックでは、TMS治療の第一人者である国際医療福祉大学の野田賀大先生に技術・学術指導いただき、国内最新のノウハウをアップデートし続けています。

また、当クリニックの医師・TMS治療チームは、日々海外で発表されている論文から新たな知見を吸収することはもちろんのこと、当院の臨床データを統計解析し、海外専門誌に論文発表を行っています。

2021年3月には、日本初でdeepTMSプロトコールが可能なデバイスを導入し、強迫性障害のアメリカFDA認可プロトコールを実践しています。

7.「治療効果」に関する情報発信の信頼性

TMS治療の情報発信のイラストです。

現時点の日本では、TMS治療の適応が認められているのは「うつ症状」「強迫症状」のみです。

そして強迫性障害の治療は、deepTMSという特殊な刺激法になり、日本では2021年3月に当院が初めて治療導入しました。

その他の疾患や病状に対してTMS治療の効果があるかは、世界的にもまだ研究段階で、効果があるとハッキリとは言えません。

ですがクリニックの中には、効果があるとは言い切れない病気や症状まで、TMS治療の効果をうたっているところがあります。

このような適応外でもTMS治療を生かせることはあるのですが、「専門プロトコールがあると説明している」「むしろホームページで効果を積極的にうたっている」場合は、周囲の専門家からは問題視されていることが多いです。

また、「ほとんど改善する」「8~9割改善」「独自の方法で3割奏効率UP」「日本人に最適化」などといったように、治療効果を過剰にアピールしている場合も注意してください。

当院のように治験や臨床研究で使われるようなHAM-DやMADRSといった心理検査での評価をしているところは珍しく、評価していたとしても精度が低い手間のかからない心理検査で治療効果を評価している場合がほとんどで、その数字の信憑性すらも極めて疑わしいです。

さらには海外論文などをとりあげて、治療効果をうたってTMS治療を勧めている医療機関もありますが、エビデンスの低い論文を都合よく加工しているケースが散見されます。

TMS治療は世界的に標準化されていて、より良い治療法があるのであれば、欧米でもすでに取り入れられています。ですので、「日本人に特別な方法」はないので、ご安心ください。

当院としては、等身大のTMS治療を理解いただいた上で、治療選択肢として考えていただきたいと考えています。

TMS治療の医療機関を選ぶポイントまとめ

ご自身、またはご家族がTMS治療を受ける際は、ぜひ上記の7つのポイントをチェックして、安心できるTMS治療を受けられる医療機関を選ぶようにしましょう。

当院「東京横浜TMSクリニック」は、患者さまに安心して治療を受けていただくために、7つのポイントをクリアできるよう努力しています。

  • 適切な治療費
    継続的な治療も行いやすい4,620円/1回~の料金設定(基本は6,600円/1回~)
  • 通院のしやすさ
    「武蔵小杉駅」と「田町・三田駅」の2クリニックで、東京都心・西東京・横浜・川崎からアクセス良好。千葉・埼玉からも通院可。
  • 精神科医の診察
    併設した武蔵小杉・田町三田こころみクリニックと連携し、こころの臨床経験を積んだ精神科医が診察
  • 患者さまに合わせた治療提案
    患者さまの状態に合わせて、rTMS治療以外の治療法も適宜ご提案
  • TMS治療の知識アップデート
    医師4名を中心としたTMS専門チームでの研鑽と、TMS治療の第一人者である野田賀大先生の技術・学術指導を実施
  • 信頼できる治療機器
    FDA認証を受けた安定性の高いマグプロを導入
  • 正確な情報発信
    客観的なTMS治療の情報をホームページで発信中

安心してTMS治療を受けていただけるように、TMS治療の比較ポイントを紹介させていただきました。

最後にひとつ、本質的で重要なことをお伝えしたいと思います。

医療機関としての倫理観

TMS治療は倫理観をもって治療選択肢として行っていく必要があります。

ここまでのすべてを総括しており、最も大事なポイントになるのが、医療機関としての倫理観です。

医療機関に高い倫理観がなければ、医療行為の第一目的が「患者さんを良くすること」ではなく、「営利の追求」となってしまう可能性を常に秘めています。

TMS治療は自由診療であるがゆえに、特に営利性が強く表れやすい医療になります。

だからこそ、お金と時間をかけて治療を行うTMS治療の医療機関を選ぶうえで、「誠実さ」で選ぶということはとても重要なのです。

十分な心の臨床経験に基づいて「TMS治療が適切である」と判断しているか、ここは本当に重要です。

TMS治療のみしか選択肢がなければ、ただそれに誘導するだけになってしまいます。

このため症例数の多さは、裏を返すと適応外の方にもTMS治療を導入していることに他なりません。

TMS治療の安全性の高さとプラセボ効果ゆえに、適切ではないTMS治療が横行しているのが実情です。

私たちは患者様の立場で、TMSを治療選択肢として提案させていただきます。

当院では「家族や友達を紹介できる医療」の実践を大切にしており、その積み重ねで良い医療者が集まるような組織を目指しています。

当法人のTMS治療のご紹介

当法人は情報発信に力を入れており、2012年より開始したオウンドメディア「医者と学ぶ心のサプリ」と「こころみ医学」は、日本でも有数のメンタル情報サイトとして運営を行ってまいりました。

大切にしていたのは、「専門的な内容の質を落とさずにわかりやすく世の中に伝えること」、そして「情報の客観性」です。

TMS治療は非常に可能性に満ちた治療法で、あなたにとっても最適な治療法かもしれません。

ですが日本のTMS治療は黎明期にあり、安心いただけるTMS治療を受けられる環境とは決していえない現状です。

TMS治療は、治療のはじめは通院頻度も多いため、自宅や職場から通いやすさも重要ですが、最近では短期集中治療も可能となっています。

もしご自身の生活圏に東京横浜TMSクリニック・武蔵小杉こころみクリニックがある場合や、休日を利用した短期集中治療をご検討いただける際には、ぜひ選択肢のひとつとしてご検討ください。

TMS治療も万全の治療ではありませんが、どこよりも納得いただけるTMS治療を提供している自負をもっております。

【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。

医療法人社団こころみ採用サイト

また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。

取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。

画像名の[sample]の部分に記事の名前を入れます

執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年1月13日

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